お気の毒おすしのおすすめ

最近読んだ本の感想やおすすめなど

百島王国物語を読みました

『百島王国物語』佐藤二葉 著(星海社を読みました。

 

美しい多島海の王国を舞台に、歌声や楽器で音楽を奏で、風や火や水など森羅万象を操る魔術師の物語です。

 

主人公や魔術師たちの魔術が生み出す現象の描写が、とても鮮やかで印象的です。

まるで音楽を聴いている時に湧き起こるイメージや皮膚に感じるような冷たさや感触、頭や心の中だけにあった経験が、魔術によって実際の現象として目の前に現されているかようで、個人的にすごく気に入っています。

 

物語の中で、魔術を行ううえで理性はとても重要で、感情は禁術に関係があるとして、ただ楽しみのために歌ったり、自由に音楽を奏でて喜びを得ることは、逸脱を誘い禁を犯すことを促すとされています。

音楽の愉楽に身を任せて理性を手放してしまうという主人公の恐れは、物語が進むにつれ、理性の支配に任せて自分を手放してしまう、と反転します。

 

「理性と感情」の関係は、そのまま「王国と魔術」の関係に当てはまります。

 

王政の統治の手段としての魔術であり、人々にとっての喜びや祈りである音楽。

 

イメージはできるけど、実際どんな音が鳴ってるのかめちゃめちゃ気になります…!

 

すごくおすすめですので、ぜひ読んでみて下さい。